008:「近日点はまだ遠く」コミカライズ掲載のおしらせ

 

本日(2024/04/18)発売の、コミック百合姫 2024年6月号にて、
「近日点はまだ遠く」のコミカライズ作品が掲載されております!


町の本屋さんでも買えるしAmazonでも買えます。紙書籍も電子書籍もあります。

百合姫の公式サイトからアンケートも送れます。
アンケートの結果によって何かが起こるのかはわかっていませんが、何か嬉しいことが起きる可能性もゼロではないかもしれないので、送っていただけると嬉しいです!
https://www.ichijinsha.co.jp/yurihime/

 

あとは手紙も送れるはず……です!
ファンレターというやつだ。
ファンレター!? ファンレター欲しい!
ハガキ1枚でもめ〜〜〜〜っちゃ嬉しいので送ってください。


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160-0022
東京都新宿区新宿3-1-13
京王新宿追分ビル5F
(株)一迅社 コミック百合姫編集部気付 遠井 音 先生係
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「遠井 音 先生」のところを「夜の羊雲 先生」にしていただければ、
夜の羊雲先生あてのファンレターが送れます。送ろう!


関連エントリ

 

 

 

007:「近日点はまだ遠く」コミカライズ掲載の予告

 

コミック百合姫 2024年6月号(2024/04/18発売)にて、「近日点はまだ遠く」のコミカライズ作品が読切として掲載されます。

本日発売のコミック百合姫2024年5月号の予告ページに作品名など載っております。

漫画を描いてくださったのは、夜の羊雲(@yorunogumo)先生です。

とてもかわいいティグリスとマナセを是非ご覧いただければと思います……!

 

関連エントリ

 

006:1/f、今の自分のまま世界をじっくり見つめ直すこと

Hello World』という合同展を観に行ったのが、3月2日の土曜日のこと。

この展示はもう既に終わっているのだけれど、とてもよかったので改めて感想を書いておこう。

 

世田谷区は尾山台の駅を出てすぐ、石畳のような地面の商店街を歩いた先に、展示会場である『fluss』(フルス)がある。

地下に続く階段を降りると、ガラスの扉から少し中を見ることができる。

薄暗い、というよりは、ほんのり明るい、ような光量の展示室。部屋の真ん中にはグランドピアノがあり、ポーン……とピアノの音が鳴る。すると近くにある電球とLEDライトが、共鳴するように明滅する。

ピアノは、気まぐれに演奏される。演奏者は、近くに立つ人と会話をしている。会話のあいまにピアノの音が鳴る。光が反応する。わたしはそれを、うつくしい、と『思う』。

 

揺らぎ。

たとえば『方丈記』のはじめに書かれているように、流れる川の水はさっきと同じ水ではないし、よどみに浮かぶ水の泡は消えては生まれ、長くとどまることはない。

山中にある川を眺めたときのことを思い出す。川の流れを見ながら、『方丈記』を思い出し、鴨長明の観察眼に感嘆した。かつ消え、かつ結びて。それは、ひとところにとどまって、じっと川や水面を見るからこそ出てくる言葉だろう。

 

Hello World』は、そんな『揺らぎ』のような展示だった。

危ういという意味ではない。むしろ、頑健で強固であった。空間全体を作品としてプロデュースされており、すべてが素晴らしい作品だった。

わたしは建築家の久米岬さんの作品を目当てに行ったのだけれど、空間全体、それらを構成するすべてのファンになってしまった。はじめて訪れた場所なのにどこか懐かしく、それでいて新鮮で、ずっと居たいと思わせるような魅力があった。

 

川が流れるためには、しっかりした土台が必要だ。やわな土台では、水の重さや勢いに負けてしまう。岩や石の上を流れていく川の水のことを想った。かつ消え、かつ結びて。それはまるで生命そのものだ。

 

会場内で久米さんの作品を見るにあたって、『思考録』という小さなカタログが貸し出された。

とても素敵な試みだと思った。

『思考録』の中には、久米さんが何を思って・どうやって・何を使って作品を作成したのかが、作者自身の言葉で語られている。

たとえば額縁の端材を集めて作られた『木』という作品。一見すると「これは何だろう?」と首を傾げてしまうが、『思考録』の中には、それが額縁の端材であること、久米さんが、作品の脇役ともいえる額縁に焦点をあててみたいと思って『木』という作品を作ったこと、などが書かれている。

 

小さな子どもと接するとき、その目線の低さに驚きながら、屈んで目線を合わせることがある。

そして、目線を変えるだけで世界の見え方が変わることに気づく。

自分は何も変わっていないのに、だ。

さらにその子どもが「あっ!」と指さすと、そこには大人の自分が気にも留めなかった『素敵なもの』が存在している。

 

何も変わらなくていい。

崇高な理念は必要ない。

目から鱗が落ちるような体験も必要ない。

ただ、少しだけ深呼吸をして。

いつもと同じ景色を、違う目線で見ることができたら、きっと。

 

そこには、うつくしい『何か』が眠っているはずだ。

005:「目」の拡張、あるいは無意識の顕在化について

コーヒーを淹れて、ヘッドフォンを装着して、キーボードに指を置く。頭の中には映像と静止画と文字列が混ざり合ったものが浮かんでいて、それを逃さないようにキーボードを叩く。
キーボードを叩く間は何も考えない。
すると、いつの間にか小説ができている。


そうやってほとんど無意識で小説を書いているので、「起承転結」とか「ハコガキを作る」とかいうやり方がまったくもってピンと来ない。
とはいえ天才ではないので、何もかもを無意識で行えるはずもない。小説の書き方の本なら何冊も読んできた。脚本術や漫画術の本を参考にしたこともある。シナリオ教室にも通った。


無意識で、というか、感覚または勘で書いているので、小説の直しがとにかく苦手だ。簡単な誤脱チェックならまだしも、自分の書いた小説のどこを直せばいいのかわからない。小説は執筆よりも推敲のほうが重要だと書いてある本もあった。わかっている。わかっているが、そもそもどこを直せばいいのかがわからない。


これまでに3回、「フィンディルの感想」という感想サービスを利用してきた。
それを通して、自分なりに衝撃を感じたので、備忘録と「フィンディルの感想」を利用しての感想を兼ねて、当記事を執筆する。
(なお、当記事は宣伝活動を目的としたものではなく、当該サービス提供者から遠井への金銭授受は一切ない)


まず、「フィンディルの感想」について。
これはフィンディルさんという方が提供する感想サービスで、利用者は自身の書いた小説への感想執筆を依頼することができる。
サービス利用(依頼)自体は無償で可能だが、感想を受け取った後に謝礼を渡すこともできる。わたしは3回とも喜んで謝礼をお渡しさせていただいた。


「フィンディルの感想」は、応募(依頼)する小説が1万字以内の短編であることが条件となっている。
しかし、その小説への感想は、2倍にも3倍にもなって返ってくる!
実体験としては、1万字程度の小説に対して4万5000字の感想が返ってきたことがある。実に4.5倍である。
引用を使用している箇所もあるが、それは「この場所でこういう表現をしているが、これは〜……」というような、真っ当な引用の仕方であり、文字数を伸ばそうと過度に引用しているわけではない。


さて、そんな「フィンディルの感想」を通して、わたしは、自分の「目」が拡張される経験を味わった。


わたしは小説を書くとき、主人公の背後から世界を見るような感覚で書いている。
しかしただ世界や景色を描写するだけでは、「小説」にはならない。
小説を小説たらしめるためには、「物語」が必要だ。起承転結とか三幕構成とか、そういう「展開」だ。
その「展開」を、作者として入れる。
主人公は作者によって挿入された「展開」に対峙する。
そのとき、作者のわたしはわずかな違和感を抱く。


でも、おかしな展開ではないはずだ。
展開に対する主人公の反応だって、おかしくはない。
話を進めるために、一旦この違和感は置いておこう。
そもそも、この違和感の正体は、何なんだ?


わからないまま小説を書き進める。
完成して読み返してみると、やはりわずかな違和感が残る。しかし正体がわからない。わからないから、直しようもない。


「フィンディルの感想」で、わたしはフィンディルさんから問いをいただいた。
「このセリフはこういう解釈ができるけれど、想定していますか?」
「これって、登場人物を読者に深く理解してもらうためになっていますか?」
という問いで、それが、それこそが、わたしにとって衝撃だった。


雷のような衝撃とともに、自分には「目」が足りていなかったのだと気づく。
すなわち「主人公ではない登場人物」の背後から、その人物を見つめる「目」だ。

これがないから、違和感が出てしまうのだ!


「意図しない方向への解釈の余地が残ってしまう」
「(主人公以外の)登場人物を理解するための言動や展開になっていない」
どちらも、原因は「目」の欠如だ。


話を進めるために、それらしい「展開」を用意する。
「展開」のための人物を配置する。
その人物は、言わば舞台装置だ。
作者にとって都合がいい存在だから、意外なことは言わない。主人公にとっても都合のいい存在たりうる。
しかし、それでは足りないのだ。
主人公の背後から見る「目」があるなら、同じように「展開のための人物」の背後にも、「目」を用意しなければならない。
この人物はどういうことを考えているのか。
この人物は何に喜び、怒り、悲しみ、笑うのか。
主人公の言動に、一挙手一投足に、何を思うのか。
そういう「目」が、これまでのわたしには欠如していたのだ。


「目」を拡張すればいいのだと気づいたら、小説の直し方も一気にわかるようになった。
「目」を増やせば、感情が増える。
何を考え、何を思い、どういう反応を見せるのかが変わってくる。
もしかしたら、展開そのものさえ変わるかもしれない。
だとしたら、この小説は、作者ですら想像できないところまで、世界が広がっていく。


脳がバチバチとスパークしていく。
直したいところが、「目」を通して見直したい場面がいくつもいくつもある。
違和感の正体がわかる。
「嘘」を書いていたせいだ。


そもそも小説とは、すべて「嘘」だ。
虚構の世界で、作られた登場人物をえがいた、「創作」だ。
でも、そこには、その中には、「真実」や「真理」が隠されている。
それをこそ、書かなくてはならないのだ。
「これでいいか」と妥協した舞台装置で作った「嘘」ではなく。
「これしかない」と思える登場人物、心理描写、セリフ、モノローグでもって、「ほんとうのこと」を書かなくてはならないのだ。


言葉にすれば当たり前なのかもしれない。
「登場人物全員のプロフィールや履歴書を書きましょう」という指南書は珍しくない。実際、そういうことなのだろうと思う。登場人物全員を深く知り、見つめること。それが必要なのだ。
もしかしたら、誰かにとっては既知で当然のことなのかもしれない。
「そんなことは初歩の初歩だ」と笑われるかもしれない。
でも、ちょっとだけ。
わたしと同じように「なんとなく」で小説を書いている誰かが、同じように「なるほど!」となるといいなと願って、書き記しておくことにする。

 

最後になってしまったが、以下に「フィンディルの感想」のURLを記載する。
「フィンディルの感想」は、FANBOXの記事(無料)が応募窓口となっている。
応募条件があるので、必ず「投稿」タブから「規約」というタイトルの記事を読むこと。
応募については、「投稿」タブの「応募はこちらから」というタイトルの記事から。

www.fanbox.cc

https://www.fanbox.cc/@phindillnokanso

 

004:第5回百合文芸コンテストで「コミック百合姫賞」を受賞しました

 

タイトルの通りです。
望外の喜びと言うほかありません。

 

一次選考を通った時点で手が震えており、その後ずっとソワソワしていて、受賞の連絡をいただいたときは気が動転しました。
そこからしばらく「夢かもしれない」と思っており、実は今もまだ疑っています。本当に現実ですか?

 

さておき何かしらを書こうと思います。
というわけで、以下、作業記録と所感です。

 

作業期間は2023/02/12から2023/02/25までの14日間でした。
アイディア出しを2023/02/12に行ない、そのまま執筆に入っています。
期間中、1日は完全に作業を休んだので、実際の作業期間は13日間です。
2万8000字ぐらいの話なので、1日平均2200字程度の作業量でした。もちろん日によって変動しますが、MIN 1000字〜MAX 5000字くらいの作業だった気がします。

 

執筆作業中はずっと柊マグネタイトさんの「或世界消失」を聴いていました。

書き始めた当初は、滅亡していく世界で肩を寄せ合う二人でラストシーンを想像していたのですが、曲の中にある「波の音の夢を見よう」が印象的だったのと、ティグリスのイメージが「凪」だったので、本物の海に行ってほしいな〜と思い、現在のラストシーンになりました。
結果、ラストを変えてよかったな〜と思っています。

 

受賞の連絡をいただいた後、どういう心持ちでいればいいのかわからず、毎日のように坂崎かおるさんのnoteとねぎしそさんのブログ、選考会レポートを読んでました。

 

受賞連絡〜発表までは結構……ほんとに結構苦しくて……誰にも言えない秘密って嬉しいことでも負荷になるんだな〜と思いました。
でももっと嬉しいことになりたいので、この負荷にも慣れて行きたいですね。

 

というわけで、読んでくださった方々、審査員の皆さん、ありがとうございました。
さらに精進していきたいと思います。

003:ガンガンJOKER新人マンガ賞で「特別奨励賞」を受賞しました

ガンガンJOKERの月例賞である「新人マンガ賞」に応募しました。
 
原作が遠井で、作画が若瀬紺ちゃんhttps://twitter.com/wakasekon)です。
「作品到着から返却まで約1週間!」と謳っている通り、本当に数日で結果が出て驚きました。早すぎて緊張する間もなかったです。
「出した!やりきったぞ!」と余韻に浸っている間に選考結果が来て、「は、早すぎる!?」になりました。
普段小説の公募に出していると半年待ちがザラなので尚更びっくりしますね。
 
というわけで2023/07/22発売のガンガンJOKER2023年8月号に名前を載せていただいております。
 
忌憚ないアドバイスもいただけて、「なるほどな〜!?」となりました。
さらなるステップアップを目指していきたいと思います。がんばるぞ。

002:2023年上半期に出した公募と結果

わりと公募に出しているので備忘録として。
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2023年オレンジ文庫ノベル大賞:選外
第8回カクヨムWEB小説コンテスト短編部門:選外
第224回コバルト短編新人賞:選外
第5回百合文芸コンテスト:一次通過→選考中
第225回コバルト短編新人賞:選考中
226回コバルト短編新人賞:選考中
第3回ビーボーイ創作BL大賞:選外
note創作大賞2023 イラストストーリー部門:選考中
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8本か〜。
月に1本以上出してると思うとかなり頑張ってるんじゃないですかね。
この他にコミティアで新刊も出したし。

下半期もこのペースで行きたいですね。
がんばるぞ。